ponsta_comのブログ

おもいついたこと

弟といえども他人なんだと初めて知ったのは、24歳のころだった。

 

「おれ、アイツといると、何話せばいいか分かんないんだよね」と言っている事を、母づてに聞いたのだ。

 

昔は一緒にスマブラしてたのにね。

 

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弟は脳に損傷のあるかなり気難しい父と住んでいて、父の毎日毎日繰り返される質問や癇癪に、ウン、ウンと耐えていた。

 

そんな弟が、去年の暮、父に「認知症検査したら」と勧めたら、殴られたそうだ。

 

痛かった?と聞くと、

「あんまり弱々しくて、なさけなくなっちゃった。あんなに心は怒ってるのに、身体はついてかないんだね。」とほくそ笑んだ彼に、遅れてきた自立と反抗期を感じた。

 

程なくして彼は実家を出て、私の住む祖父母が建てた家に引っ越した。

 

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子どもの頃は、風呂場に置かれた、髪のダメージなんか知るか、洗えればいいだろうといった、家族向けの安いシャンプーを皆で使っていた。

 

弟との二人暮らしが始まってみると、特になんの取り決めもしていないのに、風呂場には弟用のシャンプーが増えていた。

 

居間で会えばもちろん話すけど、大抵家に帰っても弟はいるかいないのかわからず、弟の部屋の扉は静かに閉まりつづけている。