嘘
いま出会ってたら私たち
友達になってなかった
あの頃は、弱さが剥き出しで
ホントの君が肌蹴てた
指先から
愛想笑いがばれるのを怖がってたら
コップを持つ手が右か左か
分からなくなっていた
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強い瞳に掴まれて
呼吸の止まった胸からは
言うはずじゃなかった言葉が出てた
私の身体と眼からでは
せいぜい半径100mの
私の世界しか想像つかなかった
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虹色の泡の軌跡に惹かれる子供の方が
美しいと思ったから
「カワウソが好き」って水族館で嘘ついた
お爺さんが亡くなったとき
皆が知らないオソウシキに行くために
幼稚園を休むことを自慢した
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小雨に降られた飲み帰り
暗い夜道の水たまりには
コンビニの光だけが眩しく反射していた