成長痛
閉じてゆく私の青春は、どれだけ美しかったでしょうか。
朝日に光るやわらかい産毛は、掌をほんの少し返すだけで、いとも簡単に翳った。
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どんなに嫌でも私の青春は今で、今しかなかった。
電車を何本も見送って、何かを待っていた。行きたい所なんてなかったけど、地下鉄のホームで本を読み、何かを待ち続けた。
スカートの長さでそれぞれの正義を測り、満員電車に隠れて秘密のうわさ話をした。
新宿での乗り換えがうまくできなくて、仕方なく、知ってる町へと電車が向かう。
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あこがれてたブランドのネックレスは、味気なく宅急便で届いて、星空の夜にはプレゼントされなかったけど、これから思い出つくればいいや。
インターネットの星占いは、気づけば読まなくなっていた。
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「かわいいね」って見つめてくれる貴方の瞳の輝きが、いつか消えるのが怖かったから笑うことしか出来なかった。
もう子供じゃないんだし、手を繋ぐだけじゃ駄目みたい。
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土砂降りの中、ポッケに手を突っ込んで、早足で歩く男の子。
たばこはケーサツに見つかる前に消しといたほうがいいよ。