ponsta_comのブログ

おもいついたこと

就活

就活の為にきつく縛ったポニーテールは、私の目をわずかに吊り上げた。息はピンと張り詰め、鼻の浅いところまでで行き来した。

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高校生の頃、受験の時期が一番居心地が良かった。高1の4月は友達が出来たと舞い上がっていたが、好きな事もなくぼんやり帰宅部になってしまった私は、気付くと夏の暑い坂道をイヤホンをつけて下校していた。

受験期になると、それなりに勉強ができたので、よく周りと話すようになった。友達と一緒にコンビニに行き、予備校で進路の話をしながら冷めたおにぎりを食べていると、自分の居場所がある事に安心した。

みんなから好きな事が奪われて、私と同じ平面まで堕ちてきたことが、たまらなく嬉しかった。

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「私たちの会社は社員使いが荒くてね、週末の酒が進むンですよ。」
会場で一斉に、ドッとスーツ達が笑うのが怖かった。感情までも周りに押し流されてしまうなんて、まるで戦争や宗教のようで、ここで笑ってしまったら、私は気づかない内に使い捨ての駒になってしまう。そんな気がして、こんな所で流されてたまるかと、かぼそい枝にしがみつき、何百人の笑い声の洪水に耐えた。同じフロアに同じ格好が何百人といるのに、私はまるで疎外感をかんじていた。

ちらっと横目で見ると、もう一人だけ真顔の女の子がいて、勝手に心が繋がっているようなつもりでいた。きっとその子も私も不合格だった。